本澤二郎の「日本の風景」(1554)

靖国後に官邸内の確執露呈>
 首相官邸筋からのメモ情報が届いた。国会閉会後の内閣改造と党人事を決断した安倍、との事情もある。靖国参拝後の国際社会からの安倍封じの本格化とも関係している。年3回の人間ドック入りの健康も話題を盛り上げている。外壁崩壊の日本丸も、内政面で4月以降の景気の沈下、アベノミクス崩壊も想定される。雑音を消そうと、人事をちらつかせる安倍に対して、官邸内も不協和音が拡大している。無事に人事に辿りつけけるのか?外交と内政の両面でピンチを迎えている安倍城を、もはや隠しおおせる状況にない。



<麻生―菅、安倍―菅>
 安倍内閣をやりくりしている菅官房長官に「北風が吹いている」という。カネ持ちの御曹司の麻生財務大臣と苦労人の菅は、全く馬が合わない。以前から2人の確執が伝わってきている。
 「ここへきて安倍と菅の関係が揺らいでいる」とも官邸筋は断言するのである。菅の地元・川崎市の市長選で、菅が太鼓判を押した候補が敗北したことが、今も尾を引いているというのだ。「菅も首相になりたいとの思惑を秘めている」との憶測情報も、安倍・麻生の心臓を直撃している、というのだ。「まさか」と思ってしまうのだが、安倍でも務まる首相ポストである。やる気を起こす人物は、次々と出てくるのであろう。
 「ワシントンに嫌われる首相の長期政権はない」ためでもある。

 その原因となった靖国参拝をめぐって「官邸内は右往左往している」という事情も分かる。2人の官房副長官と菅の確執も。安倍側近によるホワイトハウス攻撃をめぐっても、官邸内の混乱に輪をかけている。
 ホワイトハウス・米国大使館と官邸の不信と憎悪の拡大は、戦後初めて頂点に達しているわけだから、いかに新聞テレビを抑えていても、官邸内の密かな騒動は隠しようがない。安倍は人事を散らつかせることで、官邸と党内を抑え込もうと必死になっている。
<安倍家のごたごた>
 「菅は自民党幹事長になろうとしている。しかし、安倍が反対らしい。安倍のライバル・石破の幹事長留任も無い。安倍は徹底的に出る杭を打つ作戦だ」などと官邸内の憶測もかまびすしい。
 安倍がソチから戻った日に二つの週刊誌が、安倍攻撃を開始した。安倍家のごたごたが露呈した。安倍夫妻が仮面の夫婦であることは、政界の常識である。
「おむつする首相」も遂に記事にされてしまった。子供のいない安倍家の養子縁組・後継者問題も深刻という。
 困ったことに安倍家は、明治の尾を引いている。世襲政治を当然視している。政治を愚民に任せられない、との観念が強固なのだ。
<北京・ソウルから総スカン・60年安保再現>
 松下政経塾内閣が石原慎太郎と共にぶち上げた尖閣問題を、さらに拡大して緊張を作り出してきた安倍内閣は、いまや北京とソウルから総反撃を受けている。靖国参拝でとうとうワシントンの怒りを買ってしまい、安倍政権は国際外交で孤立無援・四面楚歌の状態に追い込まれている。
 貿易立国の日本にとって、現在は最悪の状態に置かれてしまった。新聞テレビがまともに報じないために生き延びている安倍内閣でしかない。
 それでも靖国、ついで集団的自衛権行使というナチス流の改憲軍拡に突入すると、どうなるのか。それでも批判を強めるのは日刊ゲンダイのみなのか。朝日・毎日が沈黙するだろうか。
 TBSテレビ・テレビ朝日が、相変わらず馬鹿げた報道をし続けるだろうか。覚醒すれば、世論を二分して騒然とした事態、60年安保レベルも想定される。
オバマが辞める2年後の共和党政権に期待>
 厳しいワシントンに対して、安倍は2年後のホワイトハウスに期待している、とのひそひそ話も伝わってきた。好戦派の共和党政権と連携して、事態を逆転させるという思いのようだ。
 果たして2年間も安倍政権を長生きさせるのであろうか。このまま米CIAが沈黙してくれるのであろうか。
<外堀は埋まり、内堀も崩壊へ>
 いまの安倍内閣は豊臣家崩壊に似ている、とする見方もある。既に外堀は完全に埋まり、それでも韓国や中国から怒りの矢が無数、飛び込んできて本丸に打撃を与えている。
 4月の消費大増税で城内の良民の糧道を断つわけだから、これでは戦いにならない。いかに広報宣伝で誤魔化しても、大本営報道は70年前に経験済みだ。いかにナベツネが奮戦しても、良民の心をとらえることは不可能であろう。

 安倍城は風前の灯との分析も成り立つ。そんな官邸筋の情報なのである。
2014年3月3日10時30分記