「3分間で知る「軽減税率」2:軽減税率は“税率”ではなく計算のための単なる“係数”」

3分間で知る「軽減税率」2:軽減税率は“税率”ではなく計算のための単なる“係数”投稿者 あっしら 日時 2014 年 3 月 01 日 から転載します。

低所得者対策というウソをまとった「軽減税率」制度は特定企業への究極の“バラマキ”政策」という投稿を行ったが、稚拙な説明の上に長文だったのでどこまでご理解いただけたか不安である。

まず、「軽減税率」なる用語法について問題を指摘したい。

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「軽減税率」が低所得者対策であるかのようなとんでもない誤解をはびこらせている原因の一つは、シリーズ1の「商品やサービスの価格と消費税」で説明した価格に対する理解のズレだが、もう一つは、税額計算上の係数でしかない値を「軽減税率」と呼び、それがあたかも税率であるかのように錯覚させている詐術的用語法である。

(※ 「複数税率」という用語についても同じことが言える。消費税(付加価値税)の税率は一つしかない。「軽減税率」なる特定事業者優遇制度の異様さを覆い隠すため、消費税率を、あるケースでは一般税率という呼ぶような奇妙な慣行が生まれた)

軽減税率を税率だと思い込んでいることで、生活必需品を中心に適用された商品の価格が下がるなどといった様々な誤解が生まれている可能性がある。

軽減税率が税率ではなく単なる計算上の係数でしかないことは、消費税額の算定式を確認すればわかる。

[消費税額の算定式]

納付すべき消費税額=売上に係わる消費税額−仕入に係わる消費税額=税抜売上×5%−税抜仕入×5%

この計算式を、「(税抜売上−税抜仕入)×消費税税率」のかたちにしたときの係数(税抜に対し5%:税込に対し4.76%)こそが、消費税(付加価値税)の税率であり、「税抜売上×5%−税抜仕入×5%」のなかで使われている5%は、同じ値であっても単なる係数でしかない。
それは、消費税があくまでも消費税であり、“売上税”でも“仕入税”でもないことを考えればわかる。

「軽減税率」と呼ばれる値は、それ自体では消費税の税率や税額を決めることができない曖昧模糊としたシロモノである。
「軽減税率」は、「仕入に係わる消費税額」で使われる係数(消費税税率と同じ値)とセットで「売上に係わる消費税額」の算定に使われることで初めて意味を持つ係数なのである。

そして、消費税額は税率だけで計算できるのにわざわざ係数を使って計算する仕組みにしたのは、「軽減税率」や「輸出免税」という特定企業への格別優遇措置を正当なものに見せる仕掛けが必要だったからである。


※ 参照投稿

「きっこのブログ」批判:低所得者対策というウソをまとった「軽減税率」制度は特定企業への究極の“バラマキ”政策