本澤二郎の「日本の風景」(1327)

参院の良識>
 昨日の大ニュースは何か。新聞テレビは「国会の閉幕」「参院選始動」と報じた。そうではない。安倍・ナショナリスト首相に一撃を加えたことである。新聞テレビが「アベノミクスによる高支持率」と宣伝してきた安倍に対して、参院の良識が「首相失格」という判断をしたことである。小党の正義に多数党の民主党も賛同して、国家主義者に問責決議という最高のプレゼントをした。快挙である。安倍失格という判断をしたことである。安倍に対する強烈な一撃である。外国の報道でさえも「安倍長期政権」と日本マスコミに追随して、予測報道をしているが、果たして夏場の過酷な選挙戦に安倍の持病は持ちこたえられるのか。


<安倍に問責決議>
 首相の問責決議は福田康夫麻生太郎野田佳彦に次いで4人目となる。いずれも短命政権である。このうちアジアにも平和の網をかぶせた福田以外は、対アジア強行派で知られる。
 麻生は安倍内閣同様に中国封じ込めに必死となった。価値観外交の先導役である。祖父の吉田茂の墓に砂を懸けてしまった。野田は石原慎太郎の罠にはまり、尖閣(釣魚)を表面化、韓国とも従軍慰安婦問題で対立の芽を育ててしまった。アジア外交失格者として歴史に遺るだろう。
 恐らく安倍の宣伝機関、悪しき新聞人が発明したであろう「アベノミクス」を大々的に報じて、無知な国民を欺くという世論操作で高支持率という偽りの数字を生み出した「アホのミクス」が、既に崩壊している。
 急激な円安政策は、1930年代に経験している。2・26事件を勃発させ、その先に侵略戦争と植民地政策が浮上した。これは歴史に克明に記録されている。安倍と黒田の責任が問われる事案である。
 国民は急激な円安による大きな副作用に泣かされるだろう。自民・公明の責任もまた問われ続けよう。
 7月参院選でのねじれ解消後の国家主義政権は、次々と毒矢を国民とアジア、国際社会に放ってくる。わかりきっている。新聞テレビは報じないが、良識ある国会議員は皆知っている。
 安倍の問責決議は会期末であったが、しかし、毒矢に一撃を加えた政治的意味は大きい。参院選にも影響を与えるだろう。野党が反国家主義で1本化すれば、逆転できる政治環境にあるのだが。
国家主義を知らない政党・政治家>
 国家主義に塩を送る公明党共産党の罪が、いかに重いかがわかろう。さしずめヒトラー台頭を許した戦前のドイツに酷似していないだろうか。
 肝心なことは、戦前の政治体制である国家主義天皇国家主義の恐怖を、戦後教育で教えていない日本である。日本人は健忘症にかかっているだけではない。過去を学ぼうとさえしない。
 昨日(6月26日)も官房長官の知性の無さが暴露された。尖閣に関連した鳩山発言に「絶句」したという。「開いた口がふさがらない」といって、自らの無知をさらけ出した。日清戦争をまるで理解していない官房長官なのだ。
 彼は歴史を勉強していない。彼は神奈川県で暴力団と関係した代議士の秘書から、市会議員になって、その後にバッジをつけた、ただそれだけの人物だ。「安倍の茶坊主になって官房長官の椅子を射止めた」と自民党内で見られている。鳩山の相手ではない。
 こんなことさえ知らない現場の記者にもあきれる。
 都議選の最中、突然電話が鳴った。公明党支持者である。「国家主義に塩を送る公明党を支持できない」といって断ったのだが、果たして相手は国家主義を知っていたのか。戦後否定された恐怖の国家主義を知らないのではないか。
<ねじれ解消の先に牙>
 安倍も公明党の山口も「ねじれ解消」をわめいている。ねじれ解消後に戦争の出来る国家主義体制にすることには、全く言及しようとしない。
 平和憲法を改悪して軍事国家にする、という危険公約に蓋をした安倍と山口ではないか。ねじれ解消の先に安倍毒蛇が大きな口を開けて待ち構えている。原発も再稼働するという。第2の福島を公約しているようなものだ。
 そのことを山口も安倍も、選挙前は言わない。善良で無知な主権者を欺いている。崩壊過程のアホのミクスを正直に伝えない。
 日本の選挙の危うさは「有権者をいかに騙すか」に集中している。そこを暴くのが新聞テレビの仕事・使命なのだが、まともな正義の評論を、真正面からしなくなってしまった朝日新聞ではないのか。
 スポンサー財閥のいいなりの新聞テレビでいいのか。何のためのジャーナリズムなのか。
<戦争する軍事国家>
 安倍の野望は、祖父のA級戦犯容疑者のそれである。過去を反省できない遺伝子で凝り固まっている。自民党員であれば、ほとんどが承知している。しかし、新聞テレビが批判しない。小沢でさえもその危険性を指摘しない。これも不思議千万である。
 国家主義の恐怖を語れない、語ろうとしない政党・政治家ばかりである。米連邦議会調査局の報告書さえも語ろうとしない。これは驚くべきことである。
 自民党改憲草案を正確に伝えようとする一部の新聞は、それがどういう日本になるのか、という分かりやすい解説をしない。
 自衛隊国防軍にすることが、どういうことなのか、を解説しない。集団的自衛権の行使が何なのか、無知な茶の間の主婦に知らせようとしない。危険極まりない軍事国家へと改造するための96条改憲という事実を知らせない。
 繰り返し、繰り返し、その危険性を分かりやすく報道・評論しない。
 財閥の金に屈してしまっている。インターネットにあれこれと情報が出ているが、本物のジャーナリストの正論はほとんど載っていない。ためにする匿名記事ばかりだ。堂々と名前を名乗れない卑怯者の情報ばかりである。
<核7000発分のプルトニウム
 昨夜、韓国のネット新聞で目にしたのだが、日本の核のゴミの量は山のように蓄積されている。この事実を繰り返し報道しない日本である。既に長崎や広島レベルの核爆弾を、実に7000発も作れる原発のゴミ・プルトニウム保有している日本である。
<日本核武装の黒幕>
 心ある世界の良識人は、日本の核武装に警鐘を鳴らしている。確か中曽根康弘と親しい元米国務長官キッシンジャーは、そのことに懸念を表明している、と何度も聞いた。彼は安倍ナショナリストの大先輩の野望を知っている数少ないアメリカ人だ。
 中曽根や読売新聞が原発推進派の本山だ。三井・三菱がスポンサーであることも。この核のゴミの悪用に世界は怯えている。北朝鮮の核であるわけがない。

 「ねじれ解消」という山口と安倍に騙される日本人なのか。
2013年6月27日8時10分記